イジワル御曹司と花嫁契約
部屋の中には録画やDVDが見れる最新の薄型テレビが置いてあり、広々とした寝心地の良いベッドに、サイドテーブル、食器棚、冷蔵庫に加湿空気清浄機があり、さらに見舞いの人が寝られる簡易ベッドも備え付けられている。


そして別の部屋にはクローゼットとトイレにお風呂まであり、病院の個室というより、ホテルのようだ。


それもビジネスホテルなどのような狭い空間ではなく、リゾートホテルのように広々としていて清潔でオシャレだった。


そんな夢のように恵まれた環境にいるにも関わらず、なぜか母は思い詰めたような顔をしていた。


ベッドの背もたれを起こし、足を伸ばして座るように横になりながら、ずっと外の景色を見つめている。


やっぱり、明日の手術が不安なんだろうか。


大丈夫だって励ましてあげないと、と思っていたら、母は意を決したように私の顔を見つめ意外な言葉を発した。


「彰貴さんとは上手くいってるの?」


 急に彰貴のことを振られて、動揺して一瞬固まってしまった。


「え、なに、上手くいってるに決まってるじゃん。どうしたのいきなり」


 笑顔が引きつる。


言葉も驚きすぎて震えてしまう。


なんだか、全てを見透かされているようで、嘘をつくのが怖くなる。
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