イジワル御曹司と花嫁契約
「月に一度の役員会議を途中退席したことがあった。

その場には私もいて、緊急の案件が入って退席すると言った時、周囲は特別不審がることもなく彰貴を見送った。

だが私は、とても嫌な予感がした。

第六感というのか、たまに仕事でも嫌な予感がすることがあって、周囲は猛反対しても自分の直感に従った結果、大変なリスクを回避できた経験が何回かあってね。

自分の直感は何よりも大切にしているんだ」


 会議を途中退席……。


なんだか、聞いたことがあるような……。


あっ、まさか、あの時!


「母の手術の日……」


 彰貴のお父さんの口元が苦笑いよるように歪んだ。


「そうだ。あの日、彰貴は初めて仕事よりも女を選んだ。

たった一度の出来事だが、これは相当に深い意味がある。

その後、君のことや彰貴の最近の様子を徹底的に調べさせた。

さっきも言ったが、基本的に彰貴の交際に首を突っ込む気はない。

だが、仕事にまで影響を与えるとなると話は別だ。

これ以上放っておくと、仕事や家、全てを捨てて君と生きる道を選ぶ気がした。

あいつは、私と違ってそういう熱いところがある」
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