イジワル御曹司と花嫁契約
「君と彰貴とでは意味合いが違うんだ。彰貴は、何を捨ててでも生きなければいけない。自分の命の重みを理解しなければいけない」


 それはまるで、命の重みは人によって違うと言っているように聞こえた。


「新聞も読まないような、若い女性にこんなことを言っても分からないかもしれないが、彰貴が東郷財閥を捨てたら、何万人何十万人の人々が生活に苦しむことになるだろう。

東郷財閥が傾いたら、多くの企業が潰れ、人々は職を失うだろう。

それによって進学を諦める子供も出てくる。

ローンや借金で自己破産する者もいるだろう。

自殺者も出るに違いない。

彰貴は何があっても、誰を犠牲にしても生きるという選択をしなければいけない。

そういう星の下に生まれた稀有な人間なんだ」


 胸にドシンと大きなおもりを乗せられたような衝撃だった。


分かっていたはずだった。


私と彰貴は違うって。


分かっていたけど、本当のことは分かっていなかったのかもしれない。
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