イジワル御曹司と花嫁契約
「そんな小さなことは知らない。

高度経済成長期、日本はこうして立ち直っていった。

古いものを刷新していかなければ成長はない。

私が力を貸すと言ったら、多くの人達が喜ぶだろう」


「でも、泣く人達もいる……」


 彰貴のお父さんは笑みを浮かべた。


「ああ、いるだろうね。それが、ビジネスというものだよ、お嬢さん」


 圧倒的な力の差を感じて、泣きそうになるのをぐっと堪える。


 私が何を言ったって、私が何をしたってこの人には敵わない。


風が一瞬通り過ぎるくらいの圧力しか与えられない。


 どうしたらいい? 


私は、この理不尽な要求を飲むしかないの?


「……少し、考えさせてください」


 彰貴のお父さんは、私の言葉に一拍分ためを作って、「いいだろう」と言った。


 ほんの少し置いた間は、考えるまでもないことだろうと苛立っているのか、簡単に丸め込めたなと思ったのかは私には分からない。


とても頑丈に心に壁を作っている人で、簡単に心内を読ませるようなことはしない。


私に歯が立つわけがない。
< 188 / 280 >

この作品をシェア

pagetop