イジワル御曹司と花嫁契約
彰貴に抱き寄せられ、彼がステップを踏むと再び音楽が鳴り出し、照明はほんのりと明るくなっていった。


 社交ダンスを踊るのなんて、学校で習った時以来だ。


必死で彰貴のステップを真似する。


でも、私が必死で踊ろうとしなくても、彰貴に身を任せていれば何とか踊りになっていた。


 巧みなエスコート術に感心する。


最初は私と彰貴だけが躍っていたけれど、次々に踊る人が増えていった。


会場は大変な盛り上がりを見せて、だんだんと私も楽しくなってきた。


 彰貴の手が、私の腰を支え、私の右手が、彰貴の手に包まれている。


触れているところが熱い。


あまりにも近くに、彰貴の顔があって直視できない。


 彼からほんのり漂う香水のかおり。


ああ、そうだった、この匂いだ。


私はこの爽やかで甘美な匂いが、とても好きだった。
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