イジワル御曹司と花嫁契約
「土日?空いているわけないでしょ。仕事だよ」


「そこを何とか空けろ」


「無理」


 被せるようにはっきり言い切った私の返答に、彰貴はしばし無言になった。


「……お前、自分の立場分かってるのか?」


「分かってるけど無理なものは無理。弁当屋なめんじゃないわよ」


 キレぎみに言う私に彰貴は小声で「なめちゃいないが……」と困惑している様子だ。


「はああ」と彰貴はこれみよがしな大きなため息を吐いた後、吹っ切れたように言った。


「弁当屋の定休日はいつだ?」


「水曜」


「二日後か……。水曜は確か来客はなかったな。

まあ俺は土日だろうが休みなんてほとんどないから、特別にお前に合わせてやる」


「偉そうに……。不定休なら最初から私に合わせなさいよ!」


「うるさい!とにかく、今週の水曜デートだからな!」


 ……は?デート?


 一瞬頭が真っ白になって固まった。


「え……?ちょ……え?」


 聞き間違いだろうか。


彰貴の口からデートなんて言葉が出てきた。


「あ、キャッチが入った。じゃあまたな!」


「えっ!?ちょっと待っ……!」


 無情にも通話終了の音が耳元で鳴っている。
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