イジワル御曹司と花嫁契約
「ああ、もしかしてさっきの腰の曲がったお婆さんのこと?

なんだ見てたんだ。

あのお婆さんがね、交差点を歩いていて、もうすぐ赤信号になりそうだったから、駆け寄って一緒に交差点を渡ったの。

行く方向が一緒だったからその後も付き添ってて、そしたら遅れちゃって」


「ちょっと待て。なぜお前は交差点にいた。

ここは地下鉄上がってすぐに辿り着けるだろ。

どっから来たんだお前は」


「いやそれが、地下鉄降りたら、日本語が通じない中国人の女の子に道を聞かれてね。

私、英語も中国語も話せないからさ、地図見て彼女の目的地まで案内してたの」


 それを聞いた彰貴は、額に手を当て「はああ」と大きなため息を吐いた。


「そこまでやる必要ないだろ」


「だって困ってたから」


「そんなだからお前はいつも損ばかりしてるんだ」


「は?いつも?」


 彰貴はハッとした表情になり、「いや、なんでもない」と口を濁した。


「それより、なんだその恰好は。やる気あるのか?」


 その恰好と言われて自分の服を見る。


カットソーにジーパン、そしてスニーカー。


いつも通りの恰好だった。


「え、駄目だった?」
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