イジワル御曹司と花嫁契約
彰貴に指摘されて、ふと周りを見ると私のような服装の子はいなかった。


見るからに高級そうな服で、都会の垢抜けたかんじが六本木ヒルズの街並みに溶け込んでいる。


一方の私は、何度も洗濯したよれよれのカットソーに色褪せたジーパン。


うん、確かに浮いている。


 途端に萎縮し出した私を見て、彰貴は強引に私の手を引いた。


「いいんじゃないの。胡桃らしくて」


 手を繋いで大股で進み出した彰貴に、引っ張られるようにして隣を歩く。


 やる気あるのか?なんて言っておきながら、胡桃らしくていいなんて、言葉に一貫性がなさすぎる。


しかも、いきなり『お前』から『胡桃』って呼ぶから、ドキっとしてしまったではないか。


急に手を繋ぐのも反則だ。


 ドキドキしてしまうのは、恋愛に免疫がないから。


別に彰貴にドキドキしているわけではないんだから。


……って、なんで言い訳してるみたいに自分に言い聞かせてるんだ、私は。


 手を繋いで並んで歩く姿がショーウィンドーに映る。


 今日の彰貴の服装は、七分袖のサマージャケットに白のVネックのカットソー、そして黒のアンクルパンツにレザーシューズを履いている。
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