イジワル御曹司と花嫁契約
シンプルで爽やかな出で立ちは、長身で小顔の彰貴によく似合っていた。


黙ってさえいれば文句のつけどころがない彰貴とこうして並ぶと自分のみすぼらしさをいやが応にも感じてしまう。


服装のことだけを指してるんじゃなくて、鼻ぺちゃの薄い顔だったり、小柄でスタイルの悪い体だったり……。


 彰貴の隣に立つ女性は、洗練された大人の美人が似合う。


私のような一般ピーポーが並ぶとちぐはぐとした印象を与えてしまう。


別に、ふりなんだから周りの目なんて気にしなくていいと思うけど、でもやっぱり、こうして鏡に映った姿を見ると大きなため息が零れてしまう。


「どうした?」


 ため息を漏らした私を不思議そうな目で見下ろす。


「何でもない。それより、どこに行くの?」


 小首を傾げて見上げた私を、彰貴は戸惑うような顔をしてふいと顔を背けた。


「まあ、デートだからな、無難に映画でいいんじゃないか」


「ふーん……。ていうか、私たちってデートする意味あるの?

誰も見てないんだから手も別に繋がなくてもいいんじゃないの?」


「見てるんだよ。今もつけられてる」


「ええ!誰に!?」


 後ろを振り返ろうとした私に、彰貴はぐっと手に力を込めて制した。
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