イジワル御曹司と花嫁契約
キョトンとする私を横目に、彰貴はとても機嫌が良さそうにぐいっと水割りを飲んだ。


「え、どういう……」


「俺のデザート食べていいぞ」


 私の質問を横切り、手をつけていない自分のデザートを寄こした。


「いいの!?」


「俺は甘いものは食べない。しかし、よく食うな」


 満面の笑顔で彰貴のデザートに食らいついた私を、彰貴は満更でもない微笑みで見つめている。


 目の前に差し出されたデザートに夢中になりすぎて、彰貴の言葉ははるか遠くの方に忘れ去られてしまった。


 お店を出ると彰貴はすぐに私の手を取って歩き出した。


 てっきりもう帰るものだと思っていたけれど、さっきこれで終わりじゃないだとか言ってたな。


これからどこかに行くのかな。


 明日仕事だから早く帰りたかったけど、彰貴のことだから最後に素敵な場所に連れて行ってくれるのかもしれない。

例えば……夜景の見える展望台とか?それとも、私が想像できない見たこともないところに連れて行ってくれるのかな。


 ぐいぐいと歩く彰貴に引っ張られるようにして、私の妄想は膨らんでいく。


彰貴に任せていれば大丈夫か。


大人のデートってかんじだなあ。


 お腹も満たされ、すっかり満足しきっている私の警戒心は緩みまくりどころか切れていた。


そして、彰貴はなぜか超高層階の高級ホテルに入っていく。
< 65 / 280 >

この作品をシェア

pagetop