イジワル御曹司と花嫁契約
口を開けて彰貴を見る。


きっと私の顔は『何言ってんだ、こいつ』と書いてあるような表情をしているだろう。


「婚約者のふりをするんだ。体の相性も知らなきゃ嘘に真実味が宿らないだろ」


「な、な、な、ばっばっ……」


 動転しすぎて言葉にならない。


ちなみに私が言いたかった言葉は『何言ってんの、ばっかじゃないの!』だ。


「まどろっこしいのは嫌いだ。さっさとベッドに行こう」


 もはや言葉も出ない。


顔面蒼白になっているであろう私を見ても、まったく動じない彰貴。


むしろ楽しんでいるようにも見える。


 固まっている私の手を掴んで、彰貴は迷うことなくベッドルームに歩を進める。


「ちょ、ちょっと待って!」


 引っ張られて、ようやく言葉が出てきた私は精一杯抵抗する。


しかし、彰貴は何でもないように進んでいく。


見た目によらず力はとても強いらしい。


「おかしい!おかしいでしょ!どう考えたっておかしいでしょ!」


 決して歩くまいと、主人にリードを引っ張られながらも懸命に抵抗する犬のごとく足に力を入れるけれど、ズルズルと進んでいく。


 必死の抵抗むなしく、あっという間に豪華なキングサイスのベッドがでんと構える寝室に連れ込まれた。
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