イジワル御曹司と花嫁契約
「待って、待って、一回冷静になろう」


 覆い被さろうとする彰貴に、必死で説得を試みる。


「俺は常に冷静だ」


 じりじりと近寄る彰貴。


飢えた獣のように見える。


なんで飢えてるの、あなたに抱かれたいって思う女はいくらでもいるでしょ。


なんでよりにもよって私なの!


「あのね、本当はこんなこと言いたくないんだけど、私処女なの」


「知ってる」


「なんで知ってんの!」


 間髪いれないテンポのいい応酬だった。


 驚く私に、彰貴は更に驚きの事実を告げる。


「お前のことは調べたと言っただろう」


「そこまで!?」


「俺の部下は優秀でな」


「プライバシーの侵害!訴えてやる!」


「やれるものならやってみろ」


 彰貴は私の両手を抑えて組み敷いた。


上からまっすぐに見下ろされる。


「私なんか抱いたら消化不良起こすよ」


「大丈夫だ。上手く調理してやる」


「私のこと女として見てなかったんじゃないの!?」


「いつ俺が女として見てないなんて言った」


 ……え?


 予想外の言葉に固まる私に、彰貴は魔法の言葉を投げかける。


「出会った時から、女として見ていたよ」


 胸がとくんと高鳴って、体が熱くなった。


息を飲む私に、彰貴は不意打ちのように唇を重ねる。
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