イジワル御曹司と花嫁契約
ハッと気が付いた時には、唇が覆われて柔らかな感触に包まれていた。



 なぜか抵抗する気が起きなくて、されるがまま唇を預ける。


まだ魔法が解けていないらしい。


 触れるだけの優しいキス。


彰貴はゆっくりと唇を離し、至近距離で私の顔を見下ろした。


 彰貴の瞳を見つめる。


鋭くて怖い目だと思っていたけど、こうして間近で見ると瞳の奥は薄茶色で優しい色をしているんだなとぼんやりと思う。


 彰貴は私の髪を撫で、またゆっくりと顔を下してきた。


再び唇が重ねられる。


けれど今度のキスは最初のキスとはまるで違った。


 優しく啄むようなキスは、やがて熱を帯びてきて情熱的に激しくなってくる。


お腹の下がきゅっと締まり、体の奥が熱く溶け出るようだった。


息を吸うために少し口を開けると、そこから舌がねじ込まれた。


舌が絡み合い、口の中を蹂躙させられる。


脳みそが溶けてしまう、と思った。


理性も背徳感も何もかもがどうでもよくなる。


そんな初めての感覚が気持ちよくもあり恐ろしくて、ぐっと体が硬直すると、彰貴は私の手を強く握った。
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