イジワル御曹司と花嫁契約
「部屋で待ってろと言っただろ」


 彰貴はおはようの挨拶もなしに、呆れるように言った。


「いいじゃない、外に出て待ってた方が時間の節約になるでしょ」


「節約ね、お前らしい。女は外で待たせたら怒るっていう俺の概念はお前には通用しないらしい」


「悪かったわね、私は日傘を持ち歩くような可愛らしい女じゃないわよ」


 開き直ってふんぞり返る私に、彰貴はふっと笑いを零して目を細めた。


ちなみに今日の服装もジーパンにトレーナーとスニーカー。


いつもの出勤スタイルと変わらない。


女らしさゼロの私に、彰貴は何も言わない。


諦めたか、はたまた興味がないのか。


「いいからとりあえず乗れ」


 後部座席に乗り込むと、バックミラー越しに運転手さんと目が合った。


 運転手さんは柔和な笑顔を浮かべていた。


彰貴の笑った顔をまた見られたことが嬉しいのか、私にとても好意的な目を向けてくれる。


運転手さんが軽くお辞儀をしたので、私も慌ててお辞儀を返す。


 車が発進してまもなく、彰貴は大きなあくびをし始めた。


 え、私といるのがそんなにつまらない? と思っていると、彰貴は「悪い、寝ていいか?」と聞いてきた。


「え、あ、うん……」


 駄目とも言えず頷くと、「サンキュー」と悪びれもしない返事と共に、彰貴がおもむろに横に倒れ私の膝を枕にして目を瞑った。


「えっ!?」


 膝枕を許可した覚えはないんですけど!
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