イジワル御曹司と花嫁契約
「どうしてそう思った?」


 彰貴は怪訝な顔付きで言った。


子供好きと言われて、喜んでいないことは明らかだった。


「え、違うの?」


 質問には答えずに、聞き返してしまう。


急に彰貴の顔色が変わったから、怖気づいてしまった。


「好きじゃない、むしろ嫌いだ」


 彰貴は顔を背けて言った。


 ……嘘だ。なんでそんな嘘つくの?


 外を見つめている彰貴の横顔を見つめながら、心の中で問いかける。


 彰貴が子供好きだと思ったことに、明確な根拠はない。


ただ、小さな子供が楽しそうに遊んでいるのを見つめる彰貴の目が優しくて、時々とても愛おしそうに見つめるからそう思っただけだ。


 結婚して子供を作りたいとは思わないのかな? 思っていても、今はまだその時期じゃないと思っているだけ?


 いつか彰貴が結婚したいと思った時に、私の存在は確実に邪魔になる。


いつまでこんなことを続けるつもりなんだろう。


「……彰貴は結婚したいとか思わないの?」


 外を見つめていた彰貴の顔がゆっくりとこちらに向く。


綺麗な茜色の夕日が、山に吸い込まれていっていた。


「俺は一生、結婚する気はない」


 真っ直ぐに見つめられて放たれた言葉に、心臓がぎゅっと握り潰されたような痛みを感じた。
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