壊れるほど抱きしめて



「え……坂木、くん?」


私は驚いて涙が止まった。


「君は小春の知り合い?」


「そんな事より俺の質問に答えろよ!あんたはコイツの彼氏なのか?」


すると聖は何を思ったのかこんな事を口にした。


「だったら?君に関係ないだろ?」


「え、ひ、ひじ」


そう言いかけた私の声を遮って、坂木くんは聖に向かって怒鳴った。


「彼氏ならコイツ泣かしたりするなよ!」


「泣かすつもりはなかったんだけどね。小春は大事な妹みたいなものだし、本来なら本当に妹になる筈だったからね……」


「は?」


「俺は小春の幼馴染で小春の亡くなった姉と付き合っていた。俺は小春のおかげで立ち直る事が出来たし、今度結婚する事になったから報告しにきただけだ。そしたら小春が泣いて喜んでくれたんだけど、勘違いさせたみたいだね?」


「……」


坂木くんは下を向いて何も言わなかった。


「じゃあ俺は帰るよ」


そう言って車に乗る前に、私の耳元で聖は言った。


『小春も幸せになれよ?』そう言って聖は車を走らせて、アパートから居なくなった。


取り残された私達は何か気まずくて、どうしていいかわからなかった。


「じ、じゃあ私、先に戻るね?」


そう言って部屋に戻ろうとしたら坂木くんは私の手を掴んだ。


「行くなよっ、俺はあんたに話がある。もう……逃さないから」


「……」


そう言われて私はそのまま坂木くんの部屋に連れて行かされた。


テーブルの前に座り暫く沈黙だったが、坂木くんが口を開いた。   




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