未来絵図 ー二人で歩むこれからー 

 そんな姿を見るたびに、雅は自分があすかを幸せにしたいと思うようになり、いつしか、あすかへの気持ちは本物になった。

 あすかも心を開いてくれ始めた頃、就職の営業で篤史と再会したことで、気持ちが篤史に傾き出したが、奈々子の彼氏ということで、一応は理性が働いていたのだ。しかし、奈々子と上手くいってない、別れたと篤史から雅が聞いたときまずいと思い、慌ててプロポーズしたのが奈々子と篤史が別れた頃だ。

 ふたりが別れたことを知らないあすかは、自分の気持ちに踏ん切りをつけるため、篤史に公開プロポーズを進めたらしい。あすかや雅の気持ちに気がついていた篤史は、断られること承知でそれを実行した。

 最大の誤算は、成功しなかったことで、あすかが式の途中からハネムーンまで魂が抜けたようになり、そのあと部屋にこもり、昨日から行方不明になったと言うこと。

「正直、結婚したら俺のもんだって…。まだ未練があるなんてこれっぽっちも思わなかった…。」

 項垂れれ雅をみても、奈々子は何と言っていいかわからなかった。あすかの気持ちを知らなかったとは言え、奈々子は、あすかの気持ちや今までのことが嘘の演技だったとは思えない。  

 近くで物音がし、そちらを向くと、涙を流す女性が。

「わた…し。雅は…まだ、奈々子を…好きだと…。だから、奈々子ちゃんが…け、…結婚しないと…わ…わた…わたしの…ものには、ならない…と、…思って…。」

 その場に泣き崩れるあすかの姿を見ると雅は、すぐさま駆け寄り抱き締めた。"あすかのことを愛しるからプロポーズしたんだよ?"優しく諭すように呟き、奈々子たちに頭をさげると涙がおさまらない、あすかの肩を抱きながら帰っていった。

 

 それから数日後、新たな台風がやって来た。仕事終わりに瑞希と買い物に行く途中、あまり会いたくない相手目の前に。

「奈々子さん!」

 すごい形相のまりかが奈々子に向かってやって来る。瑞希は、カフェでの会話を聞いて、奈々子をたくさん傷つけたまりかを睨みつけて、奈々子の前にたつ。

「久しぶりだね、まりかちゃん…。」

「名前を馴れ馴れしく呼ばないで!まだ、智くんと別れてないの?いい加減遊ばれてるって分からないのかなぁ!奈々子さんには篤史さんしかいないんだよ?」

 一気に捲し立てるまりかにふたりは不快感を露にするが、奈々子はまりかの口から篤史の名前が出てきて驚いた。
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