未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
「同僚たちが来てるんだけど。」

 不機嫌に言う奈々子に対し、悪びれる様子もない篤史。両親に会いに来た、なんて言われたら追い返す分けには行かないが、寝室に元カレ、リビングに今カレ状態に困惑する。

 二人きりではないにしろ密室には堪えられないため、寝室のドアをオープンにしている。だから、リビングにいるみんなの様子や話し声か聞こえる。

「初めて元カレ見たけどワイルド系なイケメンですね。」

 しおりは、率直な感想をのべるが隼に"そんなこと言うなよ"と小突かれる。

 寝室の両親写真の前で、篤史は座り込み、潔く頭を下げ、土下座の形をとる。

「急に何!?」

「おじさん。おばさん。ごめんなさい!奈々子とは別れたんだ。奈々子を幸せにしてあげることが出来なくてごめんなさい。自分の都合でプロポーズしてしまって、後悔してます。」

 一人で両親に謝罪を始めた。奈々子はその場に立っていたが、篤史のそばに座り顔をあげるように促す。

「俺、海外赴任が決まってたんだ。やっと夢に近づいてると喜んでたんだけど、もっと優位になるように結婚した方が良いって言われて、まだ、未練があった奈々子にプロポーズした。もしかしたらって思ったのあったし、最年少で海外赴任が決まって何もかも上手く行くような気持ちになったんだよ。」

「海外赴任、決まったの?おめでとう!」

「…いや。駄目になったんだ。…会社もやめた。」

「えっ?何で?」

「上司に奈々子と別れたこと話してなかったんだ。プロポーズがダメだったことを話したんだよ。でも、会社の暗黙の了解みたいな規約があったの知らなくて…。」

「規約?」

「恋人の査定だ。男女ともに海外赴任の時、恋人を連れていくんだけど、その相手は、外国語を話せること、器量が良いこと、相手を支えるだけの素質があるか、そんな色々な査定をするらしい。奈々子も俺の上司をもてなしたことあっただろう?その上司が奈々子を気に入って押してくれた海外赴任だったんだ。」

「そんなことが…。でも、辞める必要はあったの?」

「……うん、なかったかもな。でも、奈々子といた時間は長すぎた。何処にいても、思い出す。未練がましい。それに、たぶん奈々子さえ結婚してくれればって会社で周りが出世していくたびに思うとおもう…。」
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