未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
二人の行方ー弥生と新司ー
 ハロウィンカラーで店内が彩られ、ゲストハウスオープンまで半年を切った。奈々子と智也の同棲も順調に開始した。智也は地元に家電品などの大きな荷物を送り、服やパソコンなど段ボール2つ分を抱えて奈々子の部屋に引っ越して来たため、奈々子は荷物の少なさに驚いた。

「服と下着とパソコンさえあれば、あとは、奈々子のとこにあるだろ?」

 そう言いながら、夜は、二人で同じベットに寝て、奈々子が揃えたお揃いの食器でご飯食べ、時間があれば、朝でも夜でも一緒にお風呂に入るそんな生活を始めた。

 ふと、思いに更けていると、隣で盛大にため息をつく新司と目があった。

「奈々子さん、幸せそうっすね…。」

「まっきー、なんかあったの?」

 さらに新司が深いため息をついた。

「…それが、何もないから、困ってるんっす…。」

「…ん?弥生さんとってこと?」

 頷きながら、新司は話し出した。プランナーの弥生と休みが合わず、付き合い初めてからは数回しかデートも出来ず、そのデートも緊張ばっかりで、なに話したか分からないし、手さえも握れないとのことだ。

「相手がいない私の前でよく、そんなこと出来るよね。まっきー?」

 苛々した様子で腕組みするしおりの姿があった。

「サクッと手を握って、まっきーのアパートに連れ込んでガバッと行けばいいのよ!」

「だから、それが出来ないから困ってるんっす!」

 頭をガシガシと掻きながら、不貞腐れた様子で、店の奥へと消えていった。


 その夜、智也とご飯を食べながら新司のことを話す。

「聞いてると純愛だよな。」

「こればっかりは、まっきー達のペースがあるもんね…。」

「でも、案外そうゆう二人がすぐに"でき婚"しそうな気がする。」

「あははっまさか。」

 お茶のお代わりをコップにいれ、今日あったことを話す。そんな時間が心地よくてついつい話し込む。ご飯を食べ、歯磨きし、ふたりは寝室に行き、また、話を始める。

 毎日のことだが、ふとした瞬間、ゲストハウスに選ばれるのが奈々子でなければ、一緒にいられないと考えると、すごく寂しい気持ちになってしまうのだ。
< 130 / 143 >

この作品をシェア

pagetop