未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
「一之宮くんとは大学が一緒で、初めから、まっきーが一之宮くんの弟って知ってたんだ。」

 奈々子が新司に話す。

「そうっすか…。今の人が昔はなした家庭教師の人っす。元々は兄さんの婚約者っす…。」

 弥生に抱き締められながらポツリポツリと話し出す。

「あんなことがあって、解消させられて、兄さんが結婚したの知って、訪ねて来たんっす。」

 まだわ微かに震えているが、弥生がいることに安心しているような雰囲気は見てとれる。

「弥生さんですね?新司からよく話を聞いてます。あなたが、いてくれて良かった。これからも、よろしくお願いしますね。…じゃ、新司。一応、弁護士に話しとくから。」

「…ありがとっ。」

 颯爽と去っていく礼司の姿をみんなで見送ると、智也が言いにくそうに話す。

「一之宮って、あの一之宮?」

 そう話していると、バタバタと走る足音とともに、しおりが慌てて休憩所に入ってくる。

「今、今、花道家の一之宮礼司がいたんだけど!何で!何で!?」

「あっ兄さんっす。俺の…。」

「えーー!!」

 しおりの声が響き渡る。

 一之宮礼司は、今やときめく新風を巻き起こす花道家として有名で、御曹司として生きながら、一般人と結婚したのを、最近発表していた。

 その姿はベールに包まれていたが、最近、花関係者には、お披露目があったことで、しおりはファンになっていたのだ。

 そして、奈々子以外は、新司との関係を知らなかったのだが、みんなが知ることとなった。
 
 その後、新司は弥生とともに早めにかえり、奈々子は、弥生に会わせて、新司を翌日、有休にした。


「まさか、牧田が一之宮家の次男だったとはな。」

 寝室でまどろみながら、奈々子との時間を楽しむ智也がふと、口にした。

「牧田は母方の姓だし、気がつかないよ。」

 "だよな"と言いながら、智也は奈々子にすり寄ってくる。
< 133 / 143 >

この作品をシェア

pagetop