未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
 クリスマス商戦は、ワークショップを充実させ"手作りクリスマス"を全面に出した。

 そのため、自宅用のリースやアロマキャンドル、プレゼント用のミニツリーやプリザープドを一度ならず何度も足を運んでくれるお客様や、隼の最後を惜しむ人たちで、今までにない、売り上げ最高額を叩き出した。

 恋人たちのクリスマスと言うけれど、販売員やホテルに勤める皆には、働き倒したクリスマスになったのは言うまでもない。

 雑誌の投票ランキングで堂々の1位を取った奈々子だが、ウェディングフェアのランキング投票の結果がまだ出ていないため、ぬか喜びは出来ないでいた。

 でも、新司もしおりも"奈々子さんには叶わないね。"と言う気持ちと"このまま、この場所に残りたい"気持ちがあり、奈々子を送り出す準備をしていた。


「じゃ乾杯だね!」

 智也と奈々子は、ふたりだけの遅れたクリスマスを過ごすため、部屋にいた。

「メリークリスマス!」

 智也の声にふたりでシャンパンのグラスを高くかかげて、"カチン"と鳴らした。

 どこかホテルでもって思っていたが、結局落ち着いたのは、二人の暮らすアパートだった。

 料理を奈々子が準備し、ケーキとシャンパンを智也がセレクトした。

 ピザにスープにサラダ、ローストチキンにロブスターのオーブン焼きを手早く準備した奈々子に、微笑みながら智也は呟いた。

「奈々子は、きっと素敵な奥さんになるね。」

「えっ?急にどうしたの?」

「んっ、こっちの話。」

 奈々子を見ながら、優しい眼差しを向けてくる智也に、首を傾げるが、それ以上の話はなく食事を美味しい、美味しいと食べていた。

 食事もケーキも終わり、ふたりでお決まりのお風呂タイムに向かう。

 智也が急い急いとお風呂に向かい、何か準備していたが、呼ばれてお風呂場に行くと、奈々子はその幻想的な世界に感嘆の声をあげた。

「わぁ~すっごい綺麗!!」

 脱衣場とお風呂場の電気は消えているが、その代わり、アロマキャンドルが至るところにおかれ、家の中なのにイルミネーションをみている気分になった。

「俺、先に入るから、ゆっくりおいでよ。」

 そう言うと智也はお風呂場に消えていった。
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