未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
 お風呂場に入ると、智也は、ぬくぬくと湯船につかり、アロマキャンドルを手に取り眺めながら、奈々子に早くするように急かしてくる。

 毎日のお風呂タイムに、新司は興奮していたが、他のみんなは"無理……。""いくらなんでも毎日は。"とからかわれてたが、言い出した智也は気にする素振りは見せず、独占欲の塊をまた、皆にさらしてしまった。

 奈々子は、体を洗いながらアロマキャンドルをボーと眺めていると、雪だるまの形をしたアロマキャンドルが所々にあるのが分かる。

 その雪だるまたちだけ、明らかに手作り感があり、胸元にアルファベットが入っている。

 文字を辿って行くと、M・A・R・R・Yと続くため、AとEを間違えたんだとクスッと笑うと、さらに続きがあることに奈々子は気がついた。

 文字の続きは、こうだ。M・Eだ。

 続けて読むと、ーMarry Me ー、結婚してと言う意味になる。

 奈々子は咄嗟に智也を振り向くと、すごい暖かい瞳で見られていた。

「気がついた?」

「えっ!?」

「……さっき、スペル間違えたってクスッと笑っただろ?こっちからちゃんと見えてたよ。」

「あのっこれって…。」

「お風呂つかろっか。」

 智也はそう言いながら手招きし、奈々子は、導かれるようにお風呂に入り、いつもと違い体面して普通より大きなお風呂に入る。

「奈々子、結婚して。」

 智也の熱い視線が注がれ、奈々子は胸を熱くする。

「奈々子がゲストハウスに選ばれるって、俺、確信してるんだ。雑誌の投票で選ばれてから、奈々子も一緒に実家に連れて帰りたいって強くなって、奈々子と一緒にいるのが当たり前で、一緒に暮らしたらもう手離せなくなって、ここに残したくないんだ。」

「智也くん……。」

 智也は、目の前にクリスタルケースをだし、蓋をあけて、奈々子の前に差し出した。

 キラキラと輝く花をモチーフにしたダイヤモンドの指輪。

「付き合って半年だけど、充実した半年だった。時間は関係ないんだ。……これからも、ずっとそばにいて。」

 目の前の指輪に驚きすぎて涙を流す奈々子は、首を縦に何度もふり、智也に返事をした。

 二人はお風呂場の幻想的な世界をバックに抱きしめあい、気持ちを確かめあった。
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