未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
二人で歩みこれから
 時間になり会場に向かうと入り口で、ショップの皆と同期が智也と奈々子を待っていた。

「素敵なクリスマスだった?松っつん?」

 顔が緩みっぱなしの智也をからかうのは、やよいだ。その横には新司がニヤニヤしながらこちらを向いてるが、はっとして奈々子の左手を指さす。

「えっ?えっ~!?それ、ダイヤモンドっすか?」

 新司のあまりにも大きい声に会場の人が振り向き、注目を浴びてしまう。

 しかし、謝恩会の始まりを示すアナウンスがなり、みんなそそくさと持ち場に向かう。その時、すれ違い際に隼が奈々子に、王子スマイルを向け"幸せなんですね。"と呟いた。

 謝恩会では、会食の前に社長賞の発表と人事異動の発表があることが事前に知らされていた。

 そのため瑞希は、ここで支配人になる元カレが来ることを知っていたため、できれば出席したくなかったが、いつまでも逃げ回る訳にも行かず壇上に上がる彼の姿を、顔をほんのり赤くしながら見ていた。

 そして、壇上から"瑞希、ただいま。"とふいに名前を呼ばれた瑞希が会場を抜け出そうとして、支配人に追いかけられ、連れ戻されるという、衝撃の事件があり会場を賑わせた。

 その後にゲストハウスへの人事異動が発表された。

「支配人、松本智也。プランナー、伊納隼。そしてフラワーデザイナーは、雑誌投票、ブライダルフェア投票共に、好評価であった高木奈々子。以上の3名になります。」

と、軽く発表され、奈々子は思わず智也の姿を探してしまった。智也も、奈々子の方を向いており、目があった二人はアイコンタクトで喜びを確かめた。

 二人の姿を隼は、眺めたが胸は痛くはならなかった。

 左手の指輪を見たときに、奈々子への気持ちを諦めることが出来たからだ。

「続きまして、毎年恒例の社長賞の発表です。個人、高木奈々子さん、壇上にどうぞ。」

 ふいに名前を呼ばれ、智也を見ていた奈々子は、急に恥ずかしくなり慌ててしまい、乱れてもいない髪や服装を整えそそくさと壇上に向かって歩いた。

 壇上に上がると社長がニコニコしながら奈々子をみている。

「高木さん、あなたはマカロンイベントでショップの売り上げを目標金額の4倍の売り上げを達成し、新しい農家との契約や今回のゲストハウスのための後輩たちの育成など、数えきれない程、ホテルA'Zへ貢献してくれました。よって、社長賞を贈りたいと思います。」

 
 


 
< 140 / 143 >

この作品をシェア

pagetop