未来絵図 ー二人で歩むこれからー
その日の午後、社長がショップを訪れ、"社員がいいだした時、こんな事態は想像出来たのに、すまない。"と謝罪に来てくれた。チーフとサブチーフは、"今まで以上に気をつけます。"と言ってくれた。
すぐに智也から、社長に報告がいったことが分かり、迅速な行動にただただ感謝した。
"やめた方がいいって訴えたんだけど、ショップの売上もいつもよりいいし、相乗効果があるからって、言う人がいてさ。"
と、教えてくれたのは、その日の帰り道だった。
雑貨&フラワーショップは、通りに面しているため、覗き込む人や立ち寄る人が多いほど、ホテル内にある、カフェや、レストランに流れていく。高級感あふれるホテルA'Zに、一般客がくるという導線が出来上がっていたからだ。
「あと、半月だもん。わかってる。」
アパート前まで来て立ち止まる。
「いつでも、頼ってくれたらいいよ。」
「うん。」
「彼氏には、ちゃんとはなしてるか?」
「ううん。忙しいから。」
「でも、俺が彼氏なら頼って欲しいよ。」
「うん。そうだね。……じゃ、ありがとうね。」
奈々子は彼氏の話題がでると、すぐに切り上げる。智也にもそれが伝わった。
「早く中に入れよ。電気つくまで待ってるから。」
奈々子は頷くと、小走りで三階まで上がり部屋の電気をつけて、ベランダから顔をちょっと覗かせ、下にいる智也に手をふる。
早く中に入れよと、ジェスチャーされ、急いでカーテンをし、少しの隙間から帰っていく姿を見送る。
そんな毎日が続く。
彼氏からは"今日も、接待。まじ疲れる。"と、毎晩のように連絡があるが、奈々子の様子を聞くようなLINEはない。
彼氏とは、同じ都内に住んでいるのに、入社してから、何回あっただろうかと、奈々子は考える。
でも、それに不満はない。長年付き合ってる人より智也に信頼を寄せているから。入社してから、彼氏と触れ合う機会もすごく減った。でも、それに文句はなかった。