未来絵図 ー二人で歩むこれからー
縮まる二人の距離
鼻をくすぐる、味噌汁の臭いで微かに目覚める。
ケータイの時刻は、4時前。今日は早番だから、6時半にはついとかないと行けないと智也は考える。
「松本さん?」
「!?」
智也は、ガバッと起き上がる。髪をアップにしエプソン姿の奈々子が近くに立っていた。
「朝風呂どうですか?良かったら、時間もあるし浸かっててください。」
「んっじゃお風呂入るわ。」
ちょっと素っ気なく言ってしまった。"右です。バスタオル出してあります。"そう、見送られた。
智也は、脱衣場に入るとニヤケてしまい、口もとを手で押さえる。同棲してるカップルみたいな会話、用意された朝食、出勤前の奈々の姿。ニヤケる要素が満載だ。
「はぁ~。朝から風呂、気持ち~な。」
お風呂に浸かりながら、自分からするボディーソープの香りと、グレープフルーツミントのシャンプーのにおいにが、奈々子と同じことを想像し、欲情してしまう。
"思春期の高校生かよ。"と、つぶやいた。
「奈々子、お風呂ありがとう。」
「えっ!?もうあがったんですか!?あっ、ちょっと待ってください!」
慌てた様子の奈々子が、気になり声がした方を見ると、智也は、髪の毛を拭いていたタオルを手から落とし、固まってしまう。
「あー!!……松本さん、見ました…よね?」
智也は、バッチリと見てしまった。昨日見せられたイベント衣装を着ている奈々子を。
普段腕を見せない奈々子の二の腕。胸元は開いていないのに、ピタッとした素材のためか、胸が強調されてみえた。さらに、ミニスカートにロングのハイソックスを履いているが、スカートからはナマ足が十分過ぎるくらい見えている。
「明後日からなんですけど、足りないものがあれば、今日買いに行かないとなので。松本さんがあがる前に、ちょっと着る予定だったので。」
顔を真っ赤にしながら奈々子は話す。
「スカートの下、なんかないのか?履くようなやつ。」
ーめちゃくゃ似合う。可愛い。誰にも見せたくない。ー
と、本音なんか言えず、思わず言ったのはそんな色気ない言葉だった。