未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
 10時からなのに、開店前からショップの前には、女性客が列を長くし、開店を今か今かと待っていた。隼と新司が客寄せしたおかげだ。男性客は少なく安心していたが、午後からは男性客も増え、奈々子としおりは、体験の際、手を触られたり、膝に触れられたりとセクハラを受けることになった。

「むかつく~。うちは、キャバクラか!」

「はぁ~。一日長かったよね。」

「アロママッサンージはあんまり男性客はいなかったのに、セクハラするんですよ?奈々子さん、外じゃないですか?大丈夫でした?」

「あまりにも触るから、ここ監視カメラたくさんありますよ?って手の甲つまんじゃった!」

 奈々子としおりは、明日の体験の準備をしながら今日の出来事をはなす。

「伊納の王子キャラは見参だな。」

 山川は、売り上げを確認しながら、隼を見る。

「ずっと王子やってますから?牧田は、逃げ回ってたよな、マダムから。」

「まぢ、マダムのあしらいかたがわからないっす!」

 隼の手伝いをしながら、新司はため息をつく。

 裏口がガラリと開き、"お疲れ様。"と智也が紙袋片手に入ってくる。

「アイスコーヒーとベーグルサンドの差し入れ!」

 "やったぁ~。"とみんなが群がる。いつもイベントの時は、売り上げが出るころに、差し入れを持ってくるのがいつもの流れになっていた。

「おっ、売り上げ出たぞ。」

「ん。これは…。」

 智也は、山川に差し出された売り上げ表をみて、笑った。

「これは、土下座決定かなぁ!」

 智也の言葉に売り上げ表を見て奈々子はガッツポーズをとる。予定金額よりはるかに高い売り上げ。初日の売り上げで全てが決まると言っても過言ではない。今までイベント時に初日より売り上げが落ちたことはない。いつも右肩上がりだ。10日間で換算すると、3倍の確約は達成されそうであった。
 
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