未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
「ごめんな、すぐに来れなくて。」

「うん、ありがとう…。恐かった…。」

 優しく頭を撫でられ、奈々子は安心し、"もう、大丈夫だから。"つぶやいた。

「こんな時に、ごめん。今日飲み会のあと、話があるんだ。それを伝えにきたら、男に絡まれてたから…」

「ん。油断してたかも…。飲み会のあとね。私も、松本さんに話がある。」

 奈々子は、智也をまっすぐみて、伝える。すぐに、智也はホテルの方に帰っていった。その様子をみんなみていたがら見ていない振りをし、最終日の仕事に集中した。

ーダイニングバーほのぼのー
「では、かんぱい!!」
 グラスを高々と掲げ山川が音頭をとる。最終日は、同期会&奈々子のショップメンバーと打ち上げすることになっていたからだ。以前の急に決まった歓迎会に誘わなかったことを山川はずっと根にもっているようだった。

「ここが、例のほのぼのか!」

「飲み物も食べ物もすごく美味しいですよ!」

「高木の行き付けなんだろ?」

「はい、高校の同級生とよくきてた店に今は、同期と良く来てます!」

 山川に答えながら、テーブルに次々と運ばれてきた、おすすめの食べ物を並べていく。アボカドを生ハムでくるみ、揚げてあるものがとても美味しくて奈々子はいつも注文するが、"生ハムなのに揚げるの!?"と、友人は言っていたが、生ハムの塩っけがすごくおいしい。

「次の定例会議たのしみだなぁ!!総支配人の顔。早く見たいもんだ!」

「山川さん。結局3倍いったんっすよね?」

「聞いて驚け、牧田。……4倍だ。」

「えぇ~!!!!!!」

 奈々子以外の声が重なる。

"すごいよ、奈々子ちゃん!""やるじゃない、奈々子ちゃん"とやよいと瑞希の声が聞こえる。

「これは、今年の社長賞は、奈々子さんかな。」

 隼が奈々子に、王子スマイルで投げ掛ける。

「まさか。ってか、何で私に王子スマイル?」

"…ん。王子スマイルは、奈々子さんにも効くなかなぁと思って。"という隼と、"えっ!?"と驚く奈々子の視線が交わる。

「普通に格好いいとおもうよ。」

 奈々子の言葉に、"やっぱり効きませんね。"と悲しく笑う。微妙な雰囲気にしおりが、"酔いすぎ~。"とフォローしていた。隼は、浴びるようにお酒を飲みだした。



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