未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
 休憩をはさみ、オーナーの声で作業を、再開する。

「奈々子ちゃん、奈々子ちゃんと植えた葡萄の樹から、今年始めてワインを作ったんだよ。飲んでみるかい?」

 オーナーに声をかけられる。

「ロゼですか?」

「ああ。」

 オーナーがワイン蔵に呼び、小さな樽の前にしゃがみこみ蛇口をひねる。透明のコップが薄いピンク色に染まれ、優しい香りに包まれる。

「ご両親が亡くなった時に、植えたのよね。」

「はい、六年ですね。ワインが採れるまでになったんですね。」

「時々、智也もお世話してたわよ。時々、話かけてたわよ?」

 奈々子と智衣の会話を聞いて、"亡くなってるんっすか?"と小さく呟くと、微かに奈々子が頷いた。

「本当。智也の知らない奈々子ちゃんを、俺たち夫婦は知ってるしな。智也の嫁さんに欲しいなぁとか言ってたんだけどな。上手くいきそうだ。」

 オーナーは豪快に笑う。その顔をみて、意地悪そうに笑う智也の顔を奈々子は何故か思い出した。


 その夜、隼くんから電話が入った。

「は~い。隼くん、お店は大丈夫?」

「おひさしぶりです!奈々子さん。お店は大丈夫ですよ。」

「どうしたの?」

「社長から、戻ってくるように話がありました。」

「え!?また急に?」

「外国から松本さんも帰国することになったんですけど。保田さん夫婦の式で使う、希少価値の高い、ワインを嶋田が独占してるらしく、それをネタに松本さんと結婚するとか言ってまわってるんですよ。ありえんし。」

「結婚~!!えぇ~!!松本さんと!?いやいや、おかしいでしょ!」

 夕食をオーナーと智衣、新司と、食べていた奈々子は、みんなの前で大きな声を出してしまい、新司が異変に気付き、"スピーカーにして下さい!"と伝え、みんなでスピーカーにした携帯に耳を傾ける。
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