未来絵図 ー二人で歩むこれからー
「びっくりだよね。松本さん本人がいないのに。松本さんの両親には承諾してもらったとか、松本さんの子どもを妊娠したとか。」
隼くんの内容を聞きながら、四人は顔を見合わせて、笑ってしまう。どれも真実でないと思うからだ。
「ごめん、隼くん。どれも真実じゃないだろうから、笑っちゃった。」
「そうなのは分かってるんですけど。みんな疑ってるんですよ。嶋田さんが松本さん追ってヨーロッパに行ったんですよ。その時に、抱いてもらった。私には彼の子どもがいるのよって触れまわって。」
「嶋田さん追って行ったんっすか?」
「おわっ!!牧田!」
「スピーカーで聞いてたっす!」
「そんなすぐに妊娠は分からないでしょ!」
「考えたらわかるのに、みんな噂に踊らされてるんですよね。」
「それで、松本さんの帰国に会わせて、私たちも帰るのね。」
「はい。」
「今、ワイン工房でお世話になってるから、例のワインはなんとかなるかも!お土産持って、帰るわね!連絡ありがとう。」
奈々子はため息をついて電話をきった。
「やりすぎっすよ!嶋田さん。…大丈夫っすか?妊娠とかウソですよ。」
「まっきー。大丈夫よ。信じてるから!」
奈々子が笑うと、智衣とオーナーは、"ありがとう"と言うまなざしをむける。
「奈々子ちゃん、私たちもホテルA'Zにいくわ。」
「えっ!」
「ちょっとくらい、工房あけても大丈夫よ。智也とその女の子をびっくりさせよう大作戦!」
「それはびっくりするでしょうね。あっ、オーナーにワインのことでお願いがあるんです。」
奈々子は、強い援軍と保田夫妻が本当に求めていたワインを持ってホテルA'Zに帰るのであった。