未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
「やっと、手に入れることが出来たから。変なことで手放したりしないよ。」

 耳元を智也の声がくすぐり、ピクッとしてしまう。それが分かっているかのように、クスクスと笑われる。また、肩にもたれかかってきた智也に奈々子はふれず、目の前に広がる景色に目をやる。紫陽花に温水効果があるのか、グラデーション色に見え、この空間に二人でいることに安心感を抱いた。

「ね、ここにきてよ。」

と、不意に、指定されたのは、智也の足と足の間。

 一瞬、"えっ。"と思ってしまうが、おずおずと指定された場所に奈々子は移動した。隣にいるのも恥ずかしいのに、と心の中で思ってしまうが、にこっと微笑まれると、それに従ってしまうのだった。

「もう、1ヶ月くらい?ムラムラしてるんだけど。」
 
 智也の指定された場所につくなり、膝をなでてきた。にげようとすると、がっちりホールドされ、逃がしてはくれない。でも、ふと、腰にあたる違和感をすぐに感じとり奈々子は、ゆっくりと智也を振りかえる。

「…大きくない?」

「1ヶ月の禁欲生活、堪えられると思う?」

「……2、3年絶えられたんじゃなかったっけ?」

「何、いってんの。手に入れたんだから遠慮しないから。」

 そう言うと、膝を撫でていた手が、脇から徐々にあがってきた。それと同時に首筋にチュッと何回もしてくる。その度に、びくびくしてしまい、息もどんどんあがってくる。声を我慢してるのに気がつくと、耳元を甘噛みし、"気持ちいいんだ。"と囁かれる。

「智也くんのエッチ。」

「奈々子限定。」

 それを合図に、両方の胸に手を這わせて、首筋をチュッと何度も何度も場所を変えては攻められる。
"んっ。……あっ。…だめだょ。"何度拒否しても絶対逃がしてくれない。

「奈々子…。もう、無理。」

「ん。…ん。とも…やくん。」

 智也は、奈々子を振り向かせ、唇を塞ぐ。すぐに濃厚なものに代わり、奈々子もそれに応じ、意識がぼーとする中で、智也に手をのばした。お互いに抱きしめあい、お互いに貪りつくように体を擦り付ける。

 奈々子は、両手で、ほっぺたに触れて智也を見つめ"わたしも、無理。…おねがい。"と呟いた。
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