イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
真下さんのお陰で、引き摺るような失恋じゃない、と。
頭の一部では分かったけど。


『今度さ、一緒にチョコレート食べに行かない?俺、辰巳のこと前からいいなって思ってたんだ。』


あれも全部、嘘だったの…?

生まれて初めてだったんだ。男の人に、面と向かってそんなこと言われるのは。


「…っ」


じわじわと感傷が、襲ってくる。
まだ、頭と心がこの急展開についていかない。

ネオンで明るかった駅前から跨線橋を渡って会社の方に向かって歩く。私は会社のすぐ近くにあるアパートを借りている。初夏ともいえど、夜の風は涼しかった。

真下さんが別れ際、変質者が出ると心配していた遊歩道に差し掛かる。
噴水と、ベンチの間を歩き進め、お昼の休憩時間にあったことを思い出した。


『これからは、悪い男には引っ掛かからないようにしないとネ?』


鬱陶しい前髪。
眠たそうな顔。


「初対面なのに、変なとこ見られちゃったなぁ…」


もしこの公園でまた会う機会があったら、今度はお昼寝を邪魔しないようにしよう、と心の中で思った。
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