イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
中腰でオフィスを抜け出そうとしていた私は、入り口付近に立つ声の主を見てぎょっとした。


「っす……!」


鈴木さん!!
昨日と同じ生成りのシャツに、白衣を羽織っている。


「あの人、商品開発部の……?」
「喋ってるとこ初めて見た…」


総務部の女性たちが、眠そうなにゆらゆら立っている鈴木さんを見て、口々にひそひそ話を始めた。
けれども当の本人は、そんな反応にはお構い無く。


「これ、外で拾ったんですけど。」


起伏のない口調で呟いた鈴木さんは、一枚の紙をぺらりと掲げた。そして私の元まで幽霊みたいにそろそろ近付き、「辰巳奏さん。」ゆっくりと差し出した。


「こ、これって…」バ、バーベキュー大会のご案内!私が作成した企画書だ。


「鈴木さん、どこでこれを…?」
「遊歩道のとこ。」
「嘘っ、じゃあ来るときファイルから落ちちゃったんだ…。ありがとうございます!」
「そそっかしいね。僕の昼寝を2度も邪魔して。」
「またあそこで寝てたんですか?ていうか、まだ朝なんですから昼寝じゃないですよ、鈴木さん」


眠たそうに目を擦り、回れ右をした鈴木さんがオフィスから出て行く。私は鈴木さんの背中に深くお辞儀をした。

よかった…。ファイルに白紙が混ざっちゃってたのは紛らわしかったけど、とにかく本当に良かったと心から思って顔を上げると。


「、っ!」


オフィス中の注目を浴びていることに気付いた。部長でさえ、何事かとこっちを見ているではないか。
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