イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?


就業後、私は商品開発部の前を通ってみた。
僅かにドアが開いていたので、ちらりと中を覗いてみる。会議室のようになっている。


「あの、なにか御用ですか?」


突然背後から声を掛けられ、「ひぃ!」慌てて振り向くと、白衣を着た眼鏡の女性が、不思議そうな顔で私を見返した。


「あ、すみません!あの、鈴木さんは?」
「部長補佐でしたら、本日午後から打ち合わせで工場の方に行ってますけど」
「そ、そうですか…ありがとうございました」


ぺこりとお辞儀をして、私はその場を後にする。

帰り道、初夏の日は長く、夕日のオレンジをバックにした噴水の水飛沫の透明がとっても綺麗で、オレンジソーダ水の中にいるみたいだった。
もう少しで日が暮れたら、体感気温はぐっと下がるだろう。その前に帰ろう、と、遊歩道で足を進める最中。


「__鈴木さん?」


なんて無防備なんだろう、と思った。今日は不動産情報紙を折り曲げ枕代わりにして、昨日と同じベンチの上で眠っている。
私はバッグの中から、お昼にコンビニで買ったものを取り出して、鈴木さんの近くで開封した。


「ん__、この匂いは…。ポップチョココンビニ限定ラムレーズン味。」
「ご名答です。」


むくっと半身を起こした鈴木さんは、西日が眩しいのか苦しそうに目を開けた。


「二つ買ったので、差し上げますね」


私は開封してない新しいものをバッグから取り出して、まだ夢うつつな相手に差し出す。「今朝の、お礼です」鈴木さんが受け取ろうとした、そのとき。
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