うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜
 幾らなんでも、了弥の声を聞き違えるなんてことはない。

「なんで了弥が神田くんのスマホに……」

 言い終わる前に怒鳴られた。

『なにお前、性懲りも無く、神田と会ってんだ!?』

 なんで私、いきなり怒られてんだっ!?

 状況もわからないのにっ。

 職場では課長様だから、黙って従うけど、外では違うぞっ、と了弥が聞いたら、職場でも従ってねえだろ、と言いそうなことを思う。

 その気配が伝わったのか。

 ようやく、自分でも状況が飲み込めたのか、気まずく了弥が言ってくる。

『俺と神田は高校と大学が一緒なんだ』

「な……なんで黙ってたのよっ」

 だが、その問いに答えはなく、
『神田ーっ!』
と了弥が怒鳴り出す。

 確かに、神田くんにも釈明して欲しい、と思いながら、スマホを渡すと、神田は溜息をひとつ、ついて、

「めんどくさくなったんだよ。
 もう~」
と了弥に向かい、言っていた。
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