タカラモノ~彼等に会えたそれは必然~

「きれいな子だねぇ…」

ため息交じりに雨斗が言う。

「あぁ。」

今回ばかりは俺も同意した。
綺麗とも可愛いとも言える。
どちらも兼ね揃えているその女は
立ち止まり何か考え込むように
きっと無意識に満開となった桜を見上げていた。
ただそれだけなのに絵になる。
その姿がどこか悲しげで、ものすごく儚げで
目を離すことが出来なかった。

しばらくすると女は少し慌てたように校舎へと足を進め始めた。

その背中を見送りその女には何も触れず
「クラス表見て俺らも行くぞ。」
とただそれだけを声に出し
今度こそクラス表を確認した。

白「えーと…みんなAクラスだね」

雨「おぉ!よかったねー!」

紫「一人はぐれたりしなくてよかったぁー…」

美「ふふっそうね。」

「んじゃ行くぞ。」
そうして俺らも校舎へと向かった。




初めてあいつを見かけたときから
全く知らないあいつを
俺らが守ってやらないといけないような
目を離したら行けないような気がしたんだ。
たぶんそれは俺だけじゃなくこいつらも同じだと思う。
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