乙女は白馬に乗った王子を待っている

二人でヒルズの中をうろうろしてから、スタバで一服する。

「映画を見ようと思ってチケット取ってあるんだけど、どう?」

「いいですね!」

高橋が選んだのは、最近公開されたばかりの話題のロマンティックコメディだった。
ちゃんとカップルシートを押さえておくところがぬかりない。

室内が薄暗くなると、さやかは自分の鼓動が聞こえてしまうのではないかと思う程だった。
隣りをそっと見ると、高橋は熱心に映画を見ている。
スクリーンを見ながら声をたてて笑う高橋を眺めていると、ストーリーなど全然頭にはいって来るはずもなかった。
さやかの頭の中は、この後の妄想で一杯だ。

だから、映画が終わって、急に、

「面白かったね。特に、男が浮気の言い訳をしてるうちにどんどんドツボにハマっていくところが、おかしかったよね……。」

なんて感想を言い出しても、

「あ、そう、うん、そうですね。」

としか答えることができなかった。

< 104 / 212 >

この作品をシェア

pagetop