乙女は白馬に乗った王子を待っている
それから、高橋は(さやかの予想通り)夜景が綺麗に見えるフレンチに連れて行ってくれた。
ワインで乾杯をする。さやかは宝石箱をひっくり返したかのようにキラキラ光る夜景を眼下に見ていた。

「ホントに素敵なお店ですね〜、さやか、一度こういうステキなところに来てみたかったんですよ。嬉しい!」

「さやかちゃんは、どんな料理が好きなの?」

「え……、私は別に、高橋さんが好きなものなら何でもいいです。」

「そっかー、じゃあ、映画は?どんなのが好きなんですか。」

「……タイタニック、とか。」

「あー、タイタニックねぇ、ナルホド。うんうん、好きそう………。悲恋に憧れてそうだもんね。」

「………」

「………」

高橋は、ワイングラスを持ち上げた。

「乾杯しない?」
 
「え?あ、またですか?」

「それもそうだね。」

持ち上げたワイングラスの行き場に困って、高橋はそのままぐいとワインを飲む。
出て来たヒレ肉のステーキは柔らかくて、濃厚なソースも絶品だった。

「さやかちゃんはさ、将来の夢とかあるの?」

「それは、やっぱり、素敵な人と素敵な恋をして結婚することです。」

「…………」

高橋は嬉しそうに無邪気に答えるさやかを黙ったまま見つめていた。


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