乙女は白馬に乗った王子を待っている
高橋と別れてからも、さっきのガーデンテラスの余韻がまだ残っている。

気持ちの良い夜風に当たりながらほろ酔い気分で歩いていると、後ろから肩をポンと叩かれた。

振り返ってみると、翔太だった。

「仕事帰り?」

ゆり子は翔太と並んで歩きながら、こくりとうなずいた。

「翔太は?」

「うん。さっき最後の宅配を届けて来たところ。
 おじいちゃんからの苺のお届けものでさ、ピンポンて押したら、5歳ぐらいの男の子が飛び出して来て、わーい!苺が来た〜〜!って駆け回ってたよ。」

「へえ。」

「おじいちゃんとこが苺農家で、毎年楽しみに待ってるんだって。」

「まだ5歳なのに、毎年楽しみって。可愛いねえ。」

「そう。こっちは、ただ宅配便を届けるだけなんだけどね〜、
あんな顔でありがとう、って言われると、すっげーいいことした気分。」

ゆり子は嬉しそうに笑う翔太の横顔に見とれた。

< 15 / 212 >

この作品をシェア

pagetop