乙女は白馬に乗った王子を待っている

「翔太って今の仕事、好き?」

「何、急に。」

「だって、今、すごく楽しそうな顔で仕事の話してたから。
 そういう顔で仕事の話できるのって何か素敵だなあ、って思っちゃってさ。」

「そんな大層な仕事じゃないよ。宅配便の運ちゃんだもん。朝早いし、夜は遅いしさー。」

「高校卒業してから、ずっと?」

「だなあ。なんだかんだで10年以上やってる。
 実家は貧乏だし、オレ、体動かすのが好きだし、ちょうどいい仕事かな。」

翔太は、そんな風に謙遜してみせるが、一生懸命頑張って働いているのはゆり子も知っていた。

横に並ぶと、ちょうどいい高さで翔太の横顔を見上げる位置になる。

小さい頃からずっとサッカー少年だった翔太は、今でも時間が合えば、チームでサッカーをやっているようで、むだのないすっきりとした体をしている。

翔太はまるでドリブルをしているかのようにリズミカルに歩いていた。

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