乙女は白馬に乗った王子を待っている

「かんぱーい」

高橋は、ジョッキグラスを高々とあげると陽気な声を出した。

高橋が連れて行ったのは、広々としたビアホールで、あちこちでオヤジたちが顔を赤くしながら盛り上がっていた。

時々陽気なアコーディオン弾きが歌いながら店内を回っている。
それに合わせて大合唱するオヤジ軍団もちらほらいた。

程よく猥雑で、程よく気安い店だった。

高橋は、ビールをごくごくと飲み、ネクタイを緩める。すっかりとくつろいだ様子でナムルに手を伸ばす。

「あんだけ格好つけてたら、確かにさやかには見せられませんねぇ、その姿。オヤジくさすぎて。」

ゆり子は高橋を眺めて呆れた。高橋は気を悪くするでもなくゆったりと笑う。

「まあね。さやかちゃんにとっては、オレは白馬の王子様らしいから、あんまり現実をさらしてもね〜。
 っつても、最近デートではがっかりさせてばっかりなんだけどさ。」

「一生王子様でいるつもりですか。」

ゆり子が思わず聞くと、
 
「どうなんだろ。」


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