乙女は白馬に乗った王子を待っている

さやかは疑るような目つきで言う。

「じゃあ、高橋さんは何で、連絡もくれないのかしら。
 今日だって、夕方から何回もラインしたのに、全然返事がこないし。」

「え、ああ、それは……」

ゆり子は思わず口ごもる。

全く!社長も何やってんだよ!
アタシと飲みに行ってる場合じゃないだろ。ったく、ラインぐらいチェックして返信しとけっつーの!

と、心の中で高橋に悪態をついてみても、さやかの鋭い視線が柔らかくなることはなかった。

さやかのケータイがふいになった。
ちらっとスクリーンを見て、慌てて電話を取る。

「た、高橋さん、はい、こんばんは。」

言いながら、さやかはそそくさと自分の部屋へ入っていった。

ホラ、言ったでしょ。なんだかんだ言って、社長はアンタのこと気に入ってんのよ。

ゆり子は自分の部屋に消えて行くさやかにそんな視線を投げかける。

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