乙女は白馬に乗った王子を待っている

「実は、カレシの家にとまっていたんですよ。」

「カレシ」に心持ち力を入れて言う。

「……そりゃ、良かった。例の、隣りの好青年?」

「例の、って何で社長が知ってるんですか!?」

「だって、さやかちゃんが熱心に話してくれたからさ。君たちのこと。」

「さやかは、な、何話したんですかッ!?」

翔太が初めて泊まった日の朝さやかと遭遇した時のことを思い出して慌てた。

高橋はまたにやにやした顔をする。
こういう時の嬉しそうな意地悪そうな顔もたまらなく魅力があった。
本当に、高橋は見た目「だけ」はすごくいい。

「……何、って二人がお似合いのカップルでとっても仲がいい、ってことだよ?」

ゆり子がうろたえたのを見て十分に楽しんでからサラリと言う。

ゆり子は何とか体勢を立て直して反撃を試みた。

「……社長こそ、あま〜い旅行になりましたか。さやかはずいぶん浮かれてましたけど。」

高橋はいっそうにやけた顔になる。

「もちろん。ゆっくり出来て良かったよ。そんなに混んでなかったしさ。」

「……っていうか、帝国ホテルなんて、よく前日にとれましたねぇ〜。」

「実はね、昔の友だちがホテルの支配人?っていうの?だから、オレ、あそこのホテルに関しては顔が利くんだよね。」

「へー。」

「今度、二人で行っておいでよ、その好青年と。予約ならいつでも取ってあげるよ。」

「………そうですね。」

なんだか、こんな風に申し出てくれても、ココロがウキウキしないのはどういう訳だろう。


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