乙女は白馬に乗った王子を待っている
今度こそ。
恋も仕事も順調。
リア充そのもの。
人生ばんざーい!
毎日会社に行くのが楽しい。
ゆり子は俄然やる気が出ていた。
もちろん、山村月星(るな)のような、トンデモ登録希望者もいたし、派遣先の企業だって、担当者が上から目線のイヤなヤツだったり、ありえないほど待遇の悪い企業だってあった。
でも、ゆり子はそういう困難にぶつかればぶつかるほど、闘志が湧いてくる。
いかに、トンデモ登録者のやる気と能力を引き出すか、それがゆり子の腕の見せ所だった。いかに悪質派遣先企業に、「派遣社員を使い捨てするな、おととい来やがれ。」とわからせるかがゆり子の知恵の絞りどころだった。
「社長、やっぱり田中さんに戻ってきてもらえませんか?」
ゆり子は高橋に帳簿を見せながら提案した。
「ほら、売り上げも順調に伸びていますし、なんと、来月は黒字になる見込みですよ。
業務量も社長と私の二人でやるにはそろそろ限界じゃないですか?」
「ほー、確かになあ。」
「何ですか、そのふざけた返事は。私は真面目に提案しているんですよ。
大体、社長、このところ夜中の12時前に帰ったこと、ないんじゃないんですか?体、壊しますよ。」
「ふーん、オレの体の心配までしてくれるんだ。」
例のニヤニヤ顔でゆり子をからかう。