乙女は白馬に乗った王子を待っている
ゆり子が、事務所で高橋に激しく八つ当たりをしていたその頃。
さやかは、鏡の前で新しく買ったブラウスをあてていた。
柔らかな素材の白いブラウスで、丸いひらっとした襟が清楚な感じだ。
下には黄色の細かいプリーツのスカートを合わせて、細い金のネックレスをつければ完璧だった。
よし、この格好ならどこへいっても大丈夫!
後は、髪の毛をふんわりカールさせて、念入りにメークを施した。出かける前に鏡の前で改めてチェックしてみる。
悪くない。
鏡に映った自分に向かってさやかはにっこり笑った。
久しぶりのデートなので気合いが入る。入念に準備をして、少し早めに出ると駅から帰ってくる翔太と会った。
「さやかちゃん。」
先に声をかけて来たのは翔太の方だった。翔太はさやかの姿に少し見とれる。
「何か今日は、その……、いつもとちょっと雰囲気が違うね。大人っぽい感じだね。」
「おかしい?」
少し不安げな表情を見せる。翔太は慌てて付け足した。
「いや……、その……、綺麗だよ。」
翔太は俯き加減で言うのが精一杯だ。
「良かった!」
安心した表情で笑顔になるさやかを見て、翔太は心がざわつく。