乙女は白馬に乗った王子を待っている

ゆり子が、事務所で高橋に激しく八つ当たりをしていたその頃。

さやかは、鏡の前で新しく買ったブラウスをあてていた。

柔らかな素材の白いブラウスで、丸いひらっとした襟が清楚な感じだ。
下には黄色の細かいプリーツのスカートを合わせて、細い金のネックレスをつければ完璧だった。

よし、この格好ならどこへいっても大丈夫!

後は、髪の毛をふんわりカールさせて、念入りにメークを施した。出かける前に鏡の前で改めてチェックしてみる。

悪くない。

鏡に映った自分に向かってさやかはにっこり笑った。

久しぶりのデートなので気合いが入る。入念に準備をして、少し早めに出ると駅から帰ってくる翔太と会った。

「さやかちゃん。」

先に声をかけて来たのは翔太の方だった。翔太はさやかの姿に少し見とれる。

「何か今日は、その……、いつもとちょっと雰囲気が違うね。大人っぽい感じだね。」

「おかしい?」

少し不安げな表情を見せる。翔太は慌てて付け足した。

「いや……、その……、綺麗だよ。」

翔太は俯き加減で言うのが精一杯だ。

「良かった!」

安心した表情で笑顔になるさやかを見て、翔太は心がざわつく。


< 188 / 212 >

この作品をシェア

pagetop