乙女は白馬に乗った王子を待っている
二人は一杯ずつ手にドリンクを持って席に着く。
「そう言えばさ、翔太と外でこんな風にお茶したりすることってなかったよね〜、今まで。」
「確かになー。さやかちゃんの家か、ファミレスばっかだったもんね。」
「そう言えばね、今日、ファミレスに来たお客さんね……」
さやかは急にさっきのバイトの話をし始めた。
翔太といると、なぜかお客さんの話で盛り上がる。翔太も、色々な人に荷物を届けるので、中には変わった人やイヤな人がいて、エピソードは尽きない。
自然そんな話になるのかもしれなかった。
話疲れたのか、さやかはストローでズズズとジュースを啜る。
「こんな話、翔太としか出来ないなー。」
「………高橋さんとはどんなこと話すの?」
「うーん、何かいつも緊張しちゃってうまくしゃべれないんだ。
高橋さんて、ホント、モデルみたいにカッコいいし、いっつも素敵なレストランとかだから、失敗しちゃったらどうしよう、って思ってると、なんか会話どころじゃなくなっちゃって。」
「それじゃ、デートを楽しむどころじゃないじゃん。もう少しリラックスしなきゃ。」
翔太が励ます。
翔太はいつもそうだ。
にこにこと静かに話を聞いてくれて、そうっと励ましてくれる。
それに、思った事を正直に口に出してくれるから、どこか何を考えているかわからない高橋と違って安心して話が出来た。
「ゆりちゃんはやっぱり幸せ者だなあ〜。」