乙女は白馬に乗った王子を待っている
「これが、一緒に食べる最後の食事だってこと?」
高橋が優しい声でそう言ったから、さやかははっと顔をあげた。
「……あの、私……、あの。」
高橋は、さやかを黙って見つめたまま話を促した。
「そうです。あの、これで最後にして下さい。」
「……初めてだね。」
「え?」
「さやかちゃんが、自分の感情に素直になったのは初めてじゃない?」
「ご、ご、ごめんなさい。」
さやかは慌てて謝った。
「いや、全然、そこは気にしなくていいよ。オレも、興味本位で付き合い始めちゃったところがあるし。」
「興味本位?」
「そう。未だに白馬の王子さまを信じてるなんて、どんな可愛いコなんだろう、ってね。」
「そんな。」
「でも、さやかちゃんにとっては、結局オレは白馬の王子様じゃなかった、ってわけだ。」
「そ、そんな……。た、高橋さんは、本当にかっこいいし、あの、素敵だと思います……けど。」
「ありがとう。じゃ、まあ、そういうことにしといてもらおうかな。」
それ以上何も言う事なく高橋はフフと笑って、二人は静かにデザートを平らげた。