乙女は白馬に乗った王子を待っている
「やっぱり、その笑顔はずるくないですか。」
「しょうがないじゃない、オレも、権藤を落とそうと必死なんだもん。」
「え?」
思わず確認しようと、高橋の顔をまじまじと見ると、さっきよりもさらにとろけそうな笑顔だった。
高橋がこんな風に笑うと、目元が緩んで無邪気で優しげな顔になる。
この笑顔を見られると、いつもゆり子の胸のうちに温かくて幸せな気持ちが沸き上がってくる。
アラフォーのおっさんのくせして、この笑顔は反則だろ。
「……ホント、その笑顔はずるいですね。」
「……まあね。」
高橋はくすくす笑う。
その余裕が面白くない。
ゆり子は何とか反撃を試みようとした。
「……今度は社長の番じゃないですか。」
「何が。」
「愛の告白。」
「して欲しいの?」
「だって、さっき、私を落とそうと必死だって言いませんでした。」
「確かに。」
人を食ったようなこの返事。
社長はどこまで本気なんだ?
ゆり子はツンとすました声をだした。
「だったら、社長こそ今がチャンスですよ。私、翔太と別れたばっかりですから。」
高橋は声を立てて笑った。