乙女は白馬に乗った王子を待っている
ああ……なんだかシアワセだなぁ、なんて思いながら、ゆり子はふと壁の時計に目をやった。
針は九時半を指している。
ひゅっと現実に戻った。
「あ! 今日は最終回じゃないですか!」
「は? 唐突に何だよ?」
「ドラマですよ、ドラマ。」
「………ああ、さやかちゃんがやけに張り切って見てたアレね。」
「そう、ああ、見なくちゃ〜。」
「じゃ、ウチ、来る?」
「え? ダメですよ。アレは、さやかと翔太と見なくちゃ盛り上がらないですもん。
そうだ! 社長もウチ来ません? みんなで見ましょうよ〜。」
ゆり子の大胆発言に高橋はたじろいだ。
「……結構、エグいメンツと思うのはオレだけ?」
ゆり子は高橋の心配を笑い飛ばした。
「アハハ。さやかの唯一の美点はですね〜、鈍感だってこと。
絶対、あたしと社長のことなんか気にせず、翔太とイチャイチャイチャイチャするに決まってますから、大丈夫ですよ。」
「……友だちのことをえらい言いようだなあ。」
ゆり子の毒舌はいっそ清々しかった。
「いや、ホント、女から見たら、かなりあざといイヤな女ですからね、さやかは。」
「じゃ、なんでつき合ってるのさ。」
「人の悪口は絶対言わないコなんですよ。バカみたいにポジティブで根が純粋なんで、こう突き放せない、というか。」