乙女は白馬に乗った王子を待っている
だからだろうか。

結局、仕事も派遣であちこちを点々と渡り歩いているような状況であったし、もちろん結婚のアテなども全くないままに三十を過ぎてしまえば、先行きに不安を感じるのも仕方のないことであった。

だから、イザという時のために、いくら貯金しておいても貯金しすぎることはないと思う。

ゆり子が頼りにできるのはお金だけだった。

その日の日付が変わろうかというころ、外から騒がしい音がして、さやかが帰って来た。
入り口のところで、誰かに挨拶らしいことをしているところを見ると、翔太と一緒だったに違いない。

少なくともさやかには翔太という押さえがあるし、高橋とも何となくいい関係になりそうで、人生の展望がさやかの方が開けているのかもしれない、とゆり子は思ったりもする。
何も考えずに気楽に生きているようにみえるさやかの方が、いい思いをしているとは、全く人生とはつくづく不公平にできているとゆり子は思った。


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