乙女は白馬に乗った王子を待っている
貧乏OLはビールで釣れ、夢見る夢子は薔薇で釣れ
月曜日、ゆり子が会社に向かう足取りは重い。
先週の金曜日にとうとう最後の事務員さんが会社を辞めてしまった。
残された社員は派遣のゆり子だけだった。
他には、社長の高橋一郎だけだ。
「……おはようございます。」
重たい口調で挨拶しながらドアを開けると、高橋は意外にも機嫌が良かった。
「おう、おはよう! もう来ないかと思ったよ、来てくれたんだ。ははあ、他に仕事、ないんだろう。」
「……社長が絶対出てくるように、って言ったんじゃないですか。
私、派遣会社の方から、行っても給料の保証はできないよ、って言われてるんですから。」
「なのに、来たのか? もしや、オレに惚れてるとか?」
「月曜の朝からげんなりするような冗談、やめて下さい。
大体、派遣会社のクセして、社員に派遣を頼む、とかワケ分かんないんですけど。」
「まあまあまあまあ。」
高橋は、コーヒーを美味しそうに啜ると、ゆり子に電話番を頼む。
業務の内容に電話番は入っていない。ゆり子は気色ばんだ。
「確かに、契約違反だよな、電話番は入ってないもんな。よし、今日から、派遣じゃなくて、ウチで正式に働いてくれ。おめでとう。」
先週の金曜日にとうとう最後の事務員さんが会社を辞めてしまった。
残された社員は派遣のゆり子だけだった。
他には、社長の高橋一郎だけだ。
「……おはようございます。」
重たい口調で挨拶しながらドアを開けると、高橋は意外にも機嫌が良かった。
「おう、おはよう! もう来ないかと思ったよ、来てくれたんだ。ははあ、他に仕事、ないんだろう。」
「……社長が絶対出てくるように、って言ったんじゃないですか。
私、派遣会社の方から、行っても給料の保証はできないよ、って言われてるんですから。」
「なのに、来たのか? もしや、オレに惚れてるとか?」
「月曜の朝からげんなりするような冗談、やめて下さい。
大体、派遣会社のクセして、社員に派遣を頼む、とかワケ分かんないんですけど。」
「まあまあまあまあ。」
高橋は、コーヒーを美味しそうに啜ると、ゆり子に電話番を頼む。
業務の内容に電話番は入っていない。ゆり子は気色ばんだ。
「確かに、契約違反だよな、電話番は入ってないもんな。よし、今日から、派遣じゃなくて、ウチで正式に働いてくれ。おめでとう。」